再生可能エネルギーの拡大とデータセンター需要で必要性が高まる一方、供給はほぼ空。系統用蓄電池が担う役割と、調整力・容量・卸電力の各市場のしくみを、独立系の技術DD会社サイエンスエックスが中立に解説します。
必要とされているのに、ほぼ建っていない。= 確定・連系済みの蓄電所は、希少。
系統用蓄電池は、脱炭素という社会的意義と、供給不足の市場という事業環境の両面を持つ設備です。「なぜ社会に必要か」と「なぜ市場として成り立つか」を整理します。
「社会に必要とされ、市場としても成り立つ」 ── 系統用蓄電池が、社会インフラと事業の両面を併せ持つ理由です。
「安く買って高く売る」だけではありません。系統用蓄電池の収益の中心は、もっとシンプルです。
電気が余る時間帯に充電。コストを抑えて電力を蓄えます。
いつでも応じられる状態で待つ。送配電網との通信回線も不要です。
周波数の乱れに10秒以内で自動応答。電力の安定を支えます。
系統用蓄電池が特に存在感を持つのが「一次調整力(オフライン)」市場です。再エネ拡大とデータセンター等の需要増で必要性が高まる一方、供給は大きく不足しています。その空白を、いま蓄電池が埋めています。
出典:電力需給調整力取引所(EPRX)取引実績、資源エネルギー庁 次世代電力系統ワーキンググループ資料、第7次エネルギー基本計画、サイエンスエックスによるエリア別約定実績の分析。希少性・需給は制度と公表値に基づく事実であり、将来の価格・収益を保証・主張するものではありません。なお、上限価格の段階的引下げや連系の増加は、中長期的に収益の逆風としても作用します(「市場の留意点」参照)。
系統用蓄電池は、性格の異なる三つの市場から収益を得ます。中核は需給調整市場で、容量市場と卸電力市場を組み合わせて収益機会を広げます。いずれもFITのような固定価格には依存しません。
調整力として待機する容量(ΔkW)への対価。周波数の乱れに10秒以内で自動応答し、通信回線も不要。高圧2MW級の蓄電池が最も得意とする、中核的な収益源です。
将来の供給力(kW)をあらかじめ確保する市場。実需給の4年前のオークションで、供給力を提供できる状態を保つことの対価を得ます。需給調整市場より収益が安定的で、同じ設備で両立します。
電力が安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する価格差収益(アービトラージ)。市場環境に応じて中核収益に上乗せする、三つ目の収益機会です。
三つの市場は同じ蓄電池で運用します。各市場の制度・価格は変動するため、実際の構成比は運用状況により変わります。本記載は系統用蓄電池という資産クラス一般の市場構造の解説であり、特定の事業・商品の収益を示すものではありません。
サイエンスエックスは、全国の系統用蓄電池・発電所用地の案件を発掘・精査する独立系の専門会社です。メーカーにもEPCにも属さない中立の立場で、工学博士が技術DD(目利き)を行い、事業性のある確定案件だけに絞り込みます。
系統用蓄電池事業の収益の中心は需給調整市場(一次調整力・オフライン)であり、その単価が最も影響の大きい変動要因です。上限価格は制度改正で段階的に引き下げられる方針が示されており、蓄電池の連系増加に伴い競争も強まると見込まれます。市場・制度の動向には継続的な注視が必要です。
上限価格・指標価格(Net CONE)・市場再編等の変更が収益に影響(プラス・マイナス両方向)。
需給調整・容量・卸電力の各価格は市場で決まり、変動する。固定収入ではない。
蓄電池の連系増加に伴い、入札の競争が強まり落札率・単価が低下する可能性。
経年劣化・機器故障・火災・自然災害。実績ある設備、O&M体制、損害保険の付保で対応するのが一般的。
需給調整収益は入札の巧拙・落札率に左右される。実績ある事業者への委託とモニタリングが重要。
工期遅延・資機材コスト上昇・連系手続きの長期化。確定価格での引渡し方式等で負担を限定する例がある。
本記載は系統用蓄電池の市場・事業に関する一般的な留意点であり、特定の事業・商品のリスクを網羅・保証するものではありません。
市場や事業の構造、確定・連系済み案件に対する当社の考え方など、系統用蓄電池の事業・投資にご関心のある法人の方は、個別にご相談を承ります。
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