毎月発行・出典つき

系統用蓄電池の月報 2026年10月

電気の値段は、使う時間によって変わります。その差を使って働くのが「系統用蓄電池」(送電網につないで、電気をためて出し入れする大きな電池)です。この月報は、公表されている数字と当社の記録から、今月の動きを図でお伝えします。

サイエンスエックス株式会社 発行 2026年11月1日 A4・全6ページ

今月の動き3つ

卸電気とは、電力会社や小売会社が売り買いする電気のことです。その値段は、日本卸電力取引所(JEPX)の「スポット市場」(前日に翌日の電気を売り買いする市場)で決まります。

図1 卸電気の平均価格(円/kWh)。紺が 2026年10月、灰が前年同月
図1 卸電気の平均価格(円/kWh)。紺が 2026年10月、灰が前年同月

出典: 日本卸電力取引所(JEPX)公表のスポット市場の取引結果。30分ごとの価格の単純平均。当社集計。

電気の値段は、1日のなかでこう動く

電気の値段は30分ごとに変わります。図は、月の同じ時刻の価格を平均した1日の形です。安い時間に電気をため、高い時間に出せば、その差額が蓄電池の収入になります。

東京はいちばん安い12時00分台が19.03円、いちばん高い16時30分台が37.11円です。九州は12時00分台が4.94円、17時30分台が24.74円です。

図2 1日の価格の山と谷(2026年10月 の平均・円/kWh)
図2 1日の価格の山と谷(2026年10月 の平均・円/kWh)

出典: JEPX スポット市場。当社集計。

高低差は、毎日ある

1日のなかの最高値と最安値の差を、日ごとに並べました。差が大きい日ほど、蓄電池が値差で稼げる余地が大きくなります。

日内の最高と最安の差の月平均は、システムが25.16円、北海道が36.50円、東京が21.87円、関西が24.05円、九州が23.15円でした。

図3 日ごとの価格の高低差(その日の最高値 − 最安値・円/kWh)
図3 日ごとの価格の高低差(その日の最高値 − 最安値・円/kWh)

出典: JEPX スポット市場。当社集計。

蓄電池は、どのくらい稼ぐのか(試算)

出力2MW・容量8MWh の蓄電所1か所の試算です。電気の売買は、その日いちばん安い4時間分で充電し、いちばん高い4時間分で放電する想定です。もう一つの稼ぎ口が調整力市場(電気の余りや不足を直す「力」を売り買いする市場)で、ここでは三次調整力②に2MWを出し続けた場合を示します。どちらも目安の試算で、実際の収益を示すものでも保証するものでもありません(前提は末尾の「試算の前提と用語」)。金の棒の調整力市場は 9月分(9月1日〜29日)で、紺の棒の 10月 とは月が違います。

蓄電所1か所の試算では、電気の売買の値差(10月・31日分)が九州368万円・東京278万円、三次調整力②(9月・29日分)が九州493万円・東京131万円です。

図4 2MW・8MWh の蓄電所1か所の収益の目安(試算・万円)
図4 2MW・8MWh の蓄電所1か所の収益の目安(試算・万円)

出典: JEPX スポット市場、EPRX 速報値をもとにした当社の試算。前提は末尾の「試算の前提と用語」。

調整力市場でも、蓄電池が使われている

調整力市場の商品は、番号が小さいほど素早い反応を求められます。図は、落札された量のうち蓄電池が占める割合です。2026年10月分の公表値はまだ集計に入っていないため、全商品がそろう直近の 2026年9月分(速報値)で示します。

9月速報値の落札量のうち蓄電池の割合は、一次調整力27.9%、二次調整力①1.8%、二次調整力②1.0%、三次調整力①0.7%、三次調整力②0.8%、複合商品10.4%でした。

図5 調整力市場で蓄電池が占める割合(%)
図5 調整力市場で蓄電池が占める割合(%)

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)の電源種別別。当社集計。

蓄電所の案件は、どこに増えているか

当社の棚 DealRoom2(買い手向けに蓄電所の案件を載せるサイト)に、今月新しく載せた案件を、送配電会社の管区別に数えました。市場全体の件数ではなく、当社が扱った案件の数字です。権利渡しは土地と電力の権利を渡す売り方、完成渡しは設備ができた状態で渡す売り方です。

当社の棚の2026年10月の新着は77件・309.1 MWで、管区別では東京33件・99.8 MW、東北8件・73.4 MW、中部11件・69.9 MWでした。

図6 2026年10月 に当社の棚へ載せた案件の出力(MW)
図6 2026年10月 に当社の棚へ載せた案件の出力(MW)

出典: 当社の DealRoom2 の記録(案件の所在地は管区までで、価格・当事者は載せない)。

系統につなぐのに、何か月・いくらかかるか

接続検討とは、送配電会社に「この場所につなげるか、工事にいくらかかるか」を調べてもらう手続きです。負担金は、つなぐ工事のうち申込む側が負担する費用です。当社が受け取った回答書を管区別に集計しました。5件未満の管区は載せていません。

接続検討の2026年10月19日時点の244地点の集計で、工期の中央値は東京8.0か月、東北42.0か月、負担金の中央値は東京3.16百万円、東北127.60百万円です。

図7 接続検討の回答の管区別の中央値(左: 工事にかかる月数、右: 負担金・税抜)
図7 接続検討の回答の管区別の中央値(左: 工事にかかる月数、右: 負担金・税抜)

出典: 当社が受け取った一般送配電事業者の接続検討回答書(2026年10月19日 時点)の集計。

土地の相談は、どの県から来ているか

当社が把握している蓄電所用地(DealRoom2 に載せた分と、載せていない相談の分)を県別に数えました。件数だけで、所在地・価格・名前は載せません。

当社が把握している用地は合計339件で、県別では茨城県33件、埼玉県25件、静岡県24件、岐阜県21件、栃木県20件です。

図8 用地の県別の件数(上位10県)
図8 用地の県別の件数(上位10県)

出典: 当社の記録。

試算の前提と用語

引用・転載について
図表や数値は、出典を明記すればそのままお使いいただけます(引用・転載ガイド)。 数字は公表データと当社の記録の集計で、試算は目安です。実際の収益を示すものでも、保証するものでもありません。前提は上の「試算の前提と用語」に書きました。

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