「系統用蓄電池」(送電網につないで、電気をためて出し入れする大きな電池)は、電気の余りや不足を直す「力」を売り、電気の値段が時間によって変わる差も使って働きます。このノートは、公表されている数字と当社の記録から、今月の動きを図と表でお伝えします。この号は、2026年11月にさかのぼって作ったバックナンバーです。接続検討の集計は、作った時点(2026年10月19日)のものです。
サイエンスエックス株式会社 発行 2026年11月5日 A4・全17ページ
蓄電所(系統用蓄電池)の収入は、3つの市場から入ります。①需給調整市場(EPRX)は、電気の余りや不足を直す「力」を送配電会社に売る市場。②卸電気(JEPX)は、安い時間に電気を買ってため、高い時間に売る市場。③容量市場(OCCTO)は、将来の電気の供給力を国が前もって買う市場です。このノートは、この3つの順に数字を並べます。節の題の頭の①②③が、どの市場の話かを示します。

出典: 日本卸電力取引所(JEPX)・電力需給調整力取引所(EPRX)・電力広域的運営推進機関(OCCTO)の制度。
3つの市場の数字から、今月の動きを3つ選びました。
需給調整市場は、電気の余りや不足を直す「力」を、送配電会社が30分ごとに買う市場です。商品は、指令を受けてから出力を変えるまでの速さで分かれます。一次調整力がいちばん速く、三次調整力②がいちばんゆっくりです。一次調整力には、送配電会社と専用線でつなぐ「オンライン」と、専用線を引かずに簡易指令システムで動く「オフライン」の2つの枠があり、別々に募集・取引されるので、分けて示します。複合商品は、複数の商品をまとめて出す札です。値段は、出せる力1kW・30分あたりの円で決まります。kW は出せる電力の大きさの単位で、電気の量を表す kWh とは別です。30分ごとの取引の1回分を「コマ」と呼びます。図は、エリアごと(電源のあるエリア別)の落札価格の幅です。細い線は1か月でいちばん安い札からいちばん高い札まで、太い帯は落札のあったコマの10コマのうち8コマが入る値段の幅、点は平均落札価格です。全国の数字は「市場の数字」の節の表にあります。
需給調整市場のエリア別の平均落札価格は、一次調整力(オフライン)の東北の14.66円/kW・30分がいちばん高く、三次調整力②の四国の0.30円/kW・30分がいちばん安い値でした。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
| 商品 | 指令から出力を変えるまで | 続ける時間 |
|---|---|---|
| 一次調整力(オンライン) | 10秒以内 | 5分以上 |
| 一次調整力(オフライン) | 10秒以内 | 5分以上 |
| 二次調整力① | 5分以内 | 30分 |
| 二次調整力② | 5分以内 | 30分 |
| 三次調整力① | 15分以内 | 30分 |
| 三次調整力② | 60分以内 | 30分 |
| 複合商品 | 組み合わせた商品の要件 | 組み合わせた商品の要件 |
約定率は、応札した量のうち落札された量の割合で、高いほど出した札が落ちやすいことを表します。図は、管区(電源のあるエリア)ごとに、商品ごとの約定率を1日の時刻(30分ごと)で描いたものです。線が途切れている時刻は、応札がありませんでした。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
一次調整力は、指令から10秒以内に出力を変える、いちばん速い商品で、蓄電池がよく使われます。左がオンライン、右がオフラインの枠です。棒は応札倍率(応札した量÷送配電会社が募集した量)で、100%を超えると、募集より多くの札が集まり、落とされる札が出ます。棒は、応札が増えても、募集が減っても高くなります。線は平均落札価格です。手元にある2025年4月からの月ごとの数字です。
需給調整市場の一次調整力(オンライン)は応札倍率が今月106.8%で初めて100%を超え、平均落札価格4.00円/kW・30分、募集量は2025年4月3,066.1MW、今月1,388.0MWです。一次調整力(オフライン)は今月の応札倍率51.5%・平均落札価格11.71円/kW・30分で、募集量は2025年4月1,122.5MW、今月497.1MWです。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
2025年4月からの、商品ごとの平均落札価格(落札量で重みを付けた月平均)です。2026年3月14日から、一次〜三次①と複合商品は、3時間ごとの取引が30分ごとの取引に変わりました(三次②は前から30分)。
需給調整市場の一次調整力(オンライン)の平均落札価格(円/kW・30分)は2025年4月2.89円、今月4.00円で、いちばん高かったのは2026年2月の4.90円です。三次調整力②は2025年4月1.12円、今月2.45円で、いちばん高かったのは2026年5月の4.18円です。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
2026年6月(1日〜30日)の、商品ごとの1時間ごとの平均落札価格です。
需給調整市場の一次調整力(オンライン)の平均落札価格は、18時台の4.62円/kW・30分がいちばん高く、2時台の3.20円/kW・30分がいちばん安い値でした。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
図は、落札された量のうち蓄電池が占める割合です。表は、蓄電池が落札した分の平均落札価格と、商品全体の平均落札価格を比べたものです。
需給調整市場の一次調整力(オンライン)の蓄電池の割合は23.5%で、蓄電池が落札した分の平均落札価格は9.52円/kW・30分(全体は4.00円/kW・30分)でした。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)の電源種別別。当社集計。
| 商品 | 蓄電池が落札した分(円/kW・30分) | 商品全体(円/kW・30分) |
|---|---|---|
| 一次調整力(オンライン) | 9.52 | 4.00 |
| 一次調整力(オフライン) | 11.70 | 11.71 |
| 二次調整力① | 10.67 | 2.55 |
| 二次調整力② | 11.41 | 2.23 |
| 三次調整力① | 11.08 | 2.11 |
| 三次調整力② | 41.95 | 2.45 |
| 複合商品 | 9.51 | 2.67 |
どちらも落札量で重みを付けた平均です(2026年6月・速報値・全国)。三次調整力②の蓄電池の分は、落札量の 0.3% しかなく、その多くが高値のコマの落札なので、平均が高く出ています。
その月の落札のあった30分コマを、売上(平均落札価格×落札量・全国)の多い順に並べ、上位のコマが月の売上の何%を占めるかを商品ごとに描きました。点線より上に膨らむほど、売上が少ないコマに集まっています。三次調整力②は、天気による再エネの発電の読み違いに備える商品で、値段は多くのコマで安く、ごく一部のコマで高くなります。
需給調整市場で上位10%のコマが月の売上に占める割合は、三次調整力②が47.9%、一次調整力(オンライン)が14.4%でした。上位1%では同じ順に7.3%と1.7%でした。

出典: 電力需給調整力取引所(EPRX)公表の取引結果(速報値)。当社集計。
2026年6月、落札のあったコマ 1,199 のうち、売上(平均落札価格×落札量)の上位1%のコマが、月の売上の 6.7% を占めました。全国の平均落札価格が10円/kW・30分以上のコマは 59、落札の無かったコマは 241 です。
最高落札価格の高いコマ(電源のあるエリア別):
| 日 | 時刻 | エリア | 最高落札価格(円/kW・30分) |
|---|---|---|---|
| 6月1日 | 9時30分 | 東京 | 97.00 |
| 6月1日 | 10時00分 | 東京 | 97.00 |
| 6月2日 | 9時00分 | 東京 | 97.00 |
| 6月2日 | 11時30分 | 東京 | 97.00 |
| 6月4日 | 9時00分 | 東京 | 97.00 |
卸電気とは、電力会社や小売会社が売り買いする電気のことです。その値段は、日本卸電力取引所(JEPX)の「スポット市場」(前日に翌日の電気を売り買いする市場)で決まります。「システム(全国)」は、日本全体を1つの市場とみなしたときの値段(システムプライス)です。地域の間の送電線が混み合うと、北海道から九州までのエリアごとの値段(エリアプライス)が分かれます。
卸電気のシステム(全国)の月間の平均は15.10円/kWhで、前年同月は10.87円/kWh(差 4.23円)でした。

出典: 日本卸電力取引所(JEPX)公表のスポット市場の取引結果。30分ごとの価格の単純平均。当社集計。
卸電気の値段は30分ごとに変わります。図は、月の同じ時刻の価格を平均した1日の形です。安い時間に電気をため、高い時間に出せば、その差額が蓄電池の収入になります。
卸電気の1日の谷と山は、東京が5時30分台の16.25円と18時30分台の27.93円、九州が12時30分台の5.75円と18時30分台の15.05円でした。

出典: JEPX スポット市場。当社集計。
その日いちばん高い4時間の平均価格から、いちばん安い4時間の平均価格を引いた差を、エリアごとに月平均で並べました。1kWh を安い4時間に買って高い4時間に売ったときの、1kWh あたりの差額に当たります。充放電で失う電気や手数料は引いておらず、安い時間と高い時間の順番も問わない単純な差です。
卸電気の高い4時間と安い4時間の値差の月平均は、東北の18.63円/kWhがいちばん大きく、九州の8.89円/kWhがいちばん小さい値でした。

出典: JEPX スポット市場。当社集計。
| エリア | 2時間の値差(円/kWh) | 4時間の値差(円/kWh) | 4時間の値差が10円以上の日 |
|---|---|---|---|
| システム(全国) | 12.11 | 10.52 | 15 |
| 北海道 | 18.90 | 16.70 | 25 |
| 東北 | 20.71 | 18.63 | 25 |
| 東京 | 15.65 | 12.89 | 23 |
| 中部 | 14.29 | 12.47 | 20 |
| 北陸 | 12.81 | 10.72 | 14 |
| 関西 | 12.93 | 10.74 | 14 |
| 中国 | 10.30 | 9.20 | 11 |
| 四国 | 13.59 | 11.66 | 21 |
| 九州 | 9.95 | 8.89 | 12 |
値差は日ごとの差の月平均です。2026年6月は30日分です。
同じ4時間の値差を、日ごとに並べました。差が大きい日ほど、蓄電池が値差で稼げる余地が大きくなります。
卸電気の4時間の値差が10円以上の日は、30日のうち北海道と東北で25日、東京で23日、システム(全国)で15日、九州で12日、中国で11日でした。

出典: JEPX スポット市場。当社集計。
容量市場は、4年先の電気の供給力を年1回の入札で買う市場で、価格は kW あたり・1年の円で決まります。左の図は、これまでのメインオークションの約定価格です。右の図は、長期脱炭素電源オークション(蓄電池・揚水などの新設を支える別の入札)で約定した蓄電池・揚水の容量です。年に1回の公表なので、毎月は変わりません。最新は実需給2029年度(2026年1月公表)です。
容量市場の東京の約定価格は実需給2024〜2029年度に14,137円/kW、3,495円/kW、5,834円/kW、9,555円/kW、14,812円/kW、15,111円/kWでした。長期脱炭素電源オークションの蓄電池・揚水の約定容量は2025年度応札でリチウムイオン81.9万kW、リチウム以外88.6万kWで、いずれも年1回の最新の公表値です。

出典: 電力広域的運営推進機関(OCCTO)公表の約定結果・容量確保契約の資料(出所は末尾の「前提と用語」)。公表のまま。
当社の棚 DealRoom2(買い手向けに蓄電所の案件を載せるサイト)に、今月新しく載せた案件を、送配電会社の管区別に数えました。市場全体の件数ではなく、当社が扱った案件の数字です。権利渡しは土地と電力の権利を渡す売り方、完成渡しは設備ができた状態で渡す売り方です。
当社の棚DealRoom2の2026年6月の新着は93件・775.0MWで、管区別は九州18件・303.0MW、中部39件・288.0MW、東京15件・126.0MWでした。

出典: 当社の DealRoom2 の記録(案件の所在地は管区までで、価格・当事者は載せない)。
接続検討とは、送配電会社に「この場所につなげるか、工事にいくらかかるか」を調べてもらう手続きです。負担金は、つなぐ工事のうち申込む側が負担する費用です。当社が受け取った回答書のうち、高圧(6,600V の配電線につなぐもの)の分だけを管区別に集計しました。特別高圧は含めていません。5件未満の管区は載せていません。
高圧だけの集計(2026年10月19日時点)で、接続検討の工期の中央値は東京8.0か月から東北17.0か月、負担金の中央値は東京3.02百万円から東北32.35百万円でした。

出典: 当社が受け取った一般送配電事業者の接続検討回答書のうち高圧の分(2026年10月19日 時点)の集計。
本文の図の元になった数字を、資料に使えるよう表にしました。①需給調整市場の商品ごとの全国の数字(応札倍率・約定率・価格・蓄電池の割合)、②卸電気(JEPX)のエリア別の数字と取引量、③容量市場の約定価格です。
需給調整市場(2026年6月・速報値・全国)
| 商品 | 募集量(MW) | 応札量(MW) | 落札量(MW) | 応札倍率(応札÷募集) | 約定率(落札÷応札) | 平均落札価格(円/kW・30分) | 蓄電池の割合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 一次調整力(オンライン) | 1,388.0 | 1,481.9 | 1,202.1 | 106.8% | 81.1% | 4.00 | 23.5% |
| 一次調整力(オフライン) | 497.1 | 256.1 | 175.7 | 51.5% | 68.6% | 11.71 | 99.2% |
| 二次調整力① | 886.5 | 2,016.3 | 1,104.8 | 227.4% | 54.8% | 2.55 | 1.9% |
| 二次調整力② | 981.7 | 3,370.4 | 2,077.0 | 343.3% | 61.6% | 2.23 | 0.7% |
| 三次調整力① | 2,263.2 | 5,484.1 | 2,929.1 | 242.3% | 53.4% | 2.11 | 0.5% |
| 三次調整力② | 542.6 | 1,386.3 | 522.9 | 255.5% | 37.7% | 2.45 | 0.3% |
| 複合商品 | 3,190.6 | 6,023.2 | 3,400.0 | 188.8% | 56.4% | 2.67 | 8.4% |
量は30分コマあたりの平均です。応札倍率が100%未満の商品は、募集に対して応札が足りていません。約定率は、応札した量のうち落札された量の割合です。
卸電気・JEPX スポット市場(2026年6月・エリア別・円/kWh)
| エリア | 月平均 | 前年同月 | 日中(8〜16時) | 夕方(16〜20時) | 4時間の値差 | 最高 | 30円以上のコマ | 0.01円のコマ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| システム(全国) | 15.10 | 10.87 | 13.06 | 19.46 | 10.52 | 32.17 | 25 | 2 |
| 北海道 | 14.51 | 9.37 | 8.51 | 21.22 | 16.70 | 40.00 | 24 | 81 |
| 東北 | 15.29 | 11.05 | 9.05 | 22.51 | 18.63 | 46.00 | 54 | 115 |
| 東京 | 20.01 | 12.96 | 20.99 | 24.60 | 12.89 | 50.01 | 118 | 0 |
| 中部 | 17.92 | 11.04 | 16.55 | 22.82 | 12.47 | 40.24 | 82 | 4 |
| 北陸 | 13.94 | 10.68 | 14.12 | 17.36 | 10.72 | 40.14 | 35 | 4 |
| 関西 | 13.88 | 10.68 | 14.06 | 17.31 | 10.74 | 40.14 | 34 | 7 |
| 中国 | 10.79 | 9.41 | 8.45 | 13.49 | 9.20 | 28.00 | 0 | 69 |
| 四国 | 7.88 | 9.20 | 6.12 | 9.31 | 11.66 | 20.95 | 0 | 189 |
| 九州 | 10.02 | 9.37 | 7.58 | 13.17 | 8.89 | 28.00 | 0 | 128 |
取引量(2026年6月・30日分の合計): 約定総量 28,588百万kWh(前年同月 22,294百万kWh)、売り入札量 47,236百万kWh、買い入札量 35,469百万kWh。
容量市場メインオークションのエリアプライス(円/kW・年)
| 実需給年度 | 北海道 | 東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年度 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 | 14,137 |
| 2025年度 | 5,242 | 3,495 | 3,495 | 3,495 | 3,495 | 3,495 | 3,495 | 3,495 | 5,242 |
| 2026年度 | 8,749 | 5,833 | 5,834 | 5,832 | 5,832 | 5,832 | 5,832 | 5,832 | 8,748 |
| 2027年度 | 13,287 | 9,044 | 9,555 | 7,823 | 7,638 | 7,638 | 7,638 | 7,638 | 11,457 |
| 2028年度 | 14,812 | 14,812 | 14,812 | 10,280 | 8,785 | 8,785 | 8,785 | 8,785 | 13,177 |
| 2029年度 | 14,972 | 15,111 | 15,111 | 12,388 | 12,388 | 12,388 | 12,388 | 12,388 | 15,112 |
長期脱炭素電源オークションの蓄電池・揚水の約定容量(万kW)
| 応札年度 | 区分 | 約定容量(万kW) |
|---|---|---|
| 2023年度応札 | 蓄電池・揚水 | 166.9 |
| 2024年度応札 | 3〜6時間 | 96.1 |
| 2024年度応札 | 6時間以上 | 76.9 |
| 2025年度応札 | リチウムイオン | 81.9 |
| 2025年度応札 | リチウム以外 | 88.6 |
毎月の更新は、LinkedIn のニュースレター「系統用蓄電池の一次データ」でもお届けしています。ニュースレターを購読する →
当社の棚 DealRoom2 に登録(無料)すると、接続検討の回答書など、案件ごとの資料を申請できます。案件の一覧は、登録なしでご覧いただけます。
DealRoom に登録する → 販売中の案件を見る