入口編で、回答書が3つの紙でできていて、当社が最初に見る6か所がどこにあるかを見取り図にしました。この回では、その6か所を1つずつ読みます。言葉は入口編の早見表にまとめました。順番は当社が実際に見る順です。件名で紙を見分けてから、申込内容、連系可否、工事の概要、負担金の内訳、工期、注意事項説明書。最後に、○の行(申込者に必要な対策・運用上の制約)と、買う人が売主に求めるもののチェックリストを置きます。
まず、件名で紙を見分ける
「回答書あり」と言われて届くPDFには、2種類あります。接続検討の回答書と、契約申込みの回答(連系承諾)です。見た目が似ていて、承諾の本文の見出しも「接続検討結果」のままのことがあるので、表紙の件名で決めてから読みます。
この回で読むのは左の紙です。右の紙が届いている案件は、席(連系予約)が確定した案件で、値段の階段が1段上がります。両方ある案件は、左で系統の条件を、右で権利の状態を見ます。
題名は全部で7種類ほどあります。表紙の題と、様式番号の対応を表にしました。様式番号は表紙の右上か左上に小さく書かれています。
| 様式 | 表紙の題 | 何の紙か | 読む回 |
|---|---|---|---|
| CK3 | 事前相談に対する回答書(高圧)/(特別高圧) | 無料の事前相談の回答。変圧器などの熱容量から簡易に見た結果で、工事・負担金・工期は書かれない | この回の② |
| AP7 AP8・AK7 AP9 | 接続検討申込みに対する回答について(別添「接続検討回答書」と「注意事項説明書」) | 接続検討の回答。この回で読む紙 | この回 |
| APy3 | 接続検討の要否確認依頼に対する結果について | 最大受電電力が変わらない・減るとき、受電設備や保護装置などを変えるときに、接続検討をやり直す必要があるかの確認結果 | COLUMN 06 |
| PP3 | 発電設備等に関する契約申込みの回答について(承諾)。中部は「契約申込みに対する回答書」、東北は「系統連系承諾書」など | 連系承諾。契約が成立し、系統の席が確定する | 承諾編 |
| PP4 | 発電設備等に関する契約申込みの回答について(承諾不可) | 承諾されなかった。理由は別紙 | 承諾編 |
| 会社の書式 | 技術検討回答書(九州) | 契約申込みのあとの技術検討で、接続検討から内容が変わったときだけ先に届く紙 | 承諾編 |
| LP3 | 需要設備に関する契約申込みの回答について | 充電側(需要側)の契約申込みへの回答 | 承諾編 |
様式番号は広域機関「系統アクセス手続きで用いる様式集」による。会社によって自社の書式と題を使う。
ここから先は、6か所ごとに回答書の文面の見本を置きます。文言は広域機関が公開している記載例のもので、名称と数字は架空です。見本の金の丸の英字(A、B…)が付いた所が、当社が読む所です。その下の表は、同じ欄に別の書き方が来たときの読み方です。
6か所を、1つずつ
申込内容:充電kWと機器が、資料と同じか
回答書の最初の欄は、電力会社が「何について検討したか」です。最大受電電力は放電の出力kW、その横の括弧書き(多くの回答書は「最大自家消費電力」、2026年10月版の記載例は「系統からの最大供給電力」)は充電の電力kW。買う人は放電kWだけを見がちですが、対策工事を決めるのは充電側のことがあります。このkWと、接続検討申込書に書いた蓄電池とPCSの種類・出力が、売主の資料や見積の構成と同じかを見ます。
違っていれば、注意事項説明書の第4項(内容が変われば再検討)の対象で、回答書の値のほうが古い。機器のメーカー・型式の変更は「接続検討の要否確認」という手続きで済むこともありますが、充電電力を変えると接続検討のやり直し(再度の接続検討)になりえます(COLUMN 06)。
2.接続検討の申込内容
| 発電者の名称 | ○○蓄電所 |
|---|---|
| 発電場所(住所) | ○○県○○市○○町○○番 |
| 最大受電電力 | 1,990kWA(系統からの最大供給電力:1,990kW)B |
| アクセス設備の運用開始希望日 | 2028年4月1日C |
(8)その他
・…本回答書は、接続検討申込書の最大受電電力(受電側)及び最小受電電力(供給側)から充放電両面を考慮した検討結果のため、接続供給契約の申込内容が今回検討した条件から異なる場合は、本回答書の工事概要や工事費負担金、所要工期が変更となる可能性があります。D
- A最大受電電力=放電のkW。電力会社が受け取る(受電する)向きなので、こう呼びます。
- B括弧の中が充電のkW。2026年10月版の記載例では「系統からの最大供給電力」。それより前の回答書では「最大自家消費電力」(中部・中国・東北など)や「最大自家用消費電力」(東京・九州)と書かれ、四国の特別高圧は「放電側」「充電側」と書きます。買う人が見落とすのはこちらです。
- C希望日は申込者が書いた日で、電力会社が約束した日ではありません。連系できる日は⑤の工期から組み直します。
- D充電側の契約(接続供給契約)を別の値で申し込むと、工事も負担金も工期も変わりうる、という一文です。充電のkWは、回答書のあとで変えにくい値だと読みます。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。記載例の申込内容は、名称・場所・最大受電電力・運用開始希望日の4行です。蓄電池やPCSの型式は本文に出ないことが多く、出るときは別紙です(当社が読んだ中部の回答書では、逆変換装置の定格出力と台数)。出ていなければ、接続検討申込書の控えで突き合わせます。
連系可否:「可」の横の但し書きと、検討範囲の1文
連系可否は「可」か「否」ですが、「可」の横に「(※但し、「(5)申込者に必要な対策」が必要となります)」と付きます。対策は、電気方式・力率・保護装置・FRT要件・保安通信用電話設備・給電情報伝送装置・発電出力の抑制機能など、高圧の記載例で19項目(特高の記載例は23項目、会社の書式でさらに違う)の適合表で、契約申込みの前提です。機器の見積に直結します。
同じ欄に、「本回答は、蓄電池連系における逆潮流(受電)側と順潮流(供給)側を包含した検討結果となります」という1文があります。放電だけでなく充電も見た、という宣言です。無料の事前相談にはこれがありません。事前相談の回答は「配電用変圧器…の熱容量から簡易的に評価した結果」で、充電側を検討したとは書かれていません。事前相談で「制限なし」でも、回答書で充電側の対策工事が付くのは、この違いからです。会社で言葉が違い、放電・充電と書く会社と、受電・供給と書く会社があります。
「ノンファーム型接続適用により、系統に連系が可能となります」の文もここにあります。混雑時に無補償で出力を止められることを受け入れて、増強を待たずにつなぐ方式です。当社の束では、約9割の回答書に付いていました。収益の前提なので、運用上の制約の行とあわせて見ます。
3.接続検討結果
(1)希望受電電力に対する連系可否
本回答は、蓄電池連系における逆潮流(受電)側と順潮流(供給)側を包含した検討結果となります。A
(a) 連系可否:可 (※但し、「(5)申込者に必要な対策」が必要となります)B
・系統混雑時において発電設備等を出力制御していただくことを前提としたノンファーム型接続適用により、系統に連系が可能となります。このため、系統混雑時の無補償での出力制御(オンライン制御)にあたり、貴社負担で必要な出力制御機器(通信装置含む)を導入していただきます。C
出力制御量に影響を与える主な設備名:275kV○○線D
貴社の発電設備に関しては、基幹系統設備の混雑に対する再給電方式(一定の順序)による混雑管理が適用されます。E
- A充電側も見た、という宣言。放電(逆潮流・受電)と充電(順潮流・供給)の両方で検討した結果です。会社によって「放電側と充電側」と書きます。
- B条件付きの「可」。(5)の対策をそろえて、はじめて契約申込みができます。
- C混んだら無補償で止められる前提。出力制御の機器と通信装置は申込者の負担です。見積に入っているかを見ます。
- Dこの設備が混むと止められる。設備名が書いてあれば、その線の潮流実績と作業停止の日数を見ます(○の行)。
- E上位の送電線が混んだときに、決まった順番で止めるルール。収益の試算に抑制を入れるかどうかの根拠です。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。
比べるために、無料の事前相談の回答も見本にします。同じ「連系できるか」でも、見ている範囲が違います。
事前相談に対する回答書(高圧)
3.回答内容
| 熱容量に起因する連系制限の有無 | 最大受電電力に対する[連系制限なし]F |
|---|---|
| バンク逆潮流の発生に伴う連系制限の有無 | 最大受電電力に対する[連系制限なし] |
| 連系点(想定) | 電柱番号 ○○ ▲号柱 電圧 6kV |
| 連系点(想定)から連系予定変電所までの既設配電線路亘長 | 約2kmG |
<注意事項>
・本回答は、連系を予定する配電用変電所における配電用変圧器(…)の熱容量から簡易的に評価した結果であり、接続検討では、本回答と異なる結果となる可能性があります。H
・連系に必要な工事の内容、工期等の検討は接続検討において行います。
- F熱容量の行の「制限なし」は、変電所の変圧器に空きがある、という意味だけ。バンク逆潮流の行の「制限なし」は、対策工事が済んでいる場合も含みます。どちらも配電線の新設・増強は評価の外で、工事や負担金が要らないという意味ではありません。
- G変電所までの線の長さ。記載例の注意事項は「亘長が長くなるほど、対策工事費が高額になる可能性が高くなります」と書いています。
- H見ているのは、変電所の変圧器の熱容量とバンク逆潮流だけ。充電側の検討の宣言(見本2のA)がありません。
文言は広域機関の記載例(様式CK3 高圧-202507)から。地名・数字は架空です。
工事の概要:連系点は最寄りか、変電所からの新設線か
「系統連系工事の概要」には、どの変電所・どの線につなぐか、工事概要図、そして「連系点・送電線ルートの選定理由」が書かれます。記載例の選定理由は、最も近い配電線に入る、最寄りでなければ経済性で比べて選んだ、景観法の区域を避けた、架空線が難しいので地中線にした、といった形です(見本4と下の表)。
工事が要る理由の欄には、バンク逆潮流対策(変電所の変圧器を電気が逆向きに流れることへの対策)、熱容量、短絡電流、そして「蓄電池の順潮流対策」が並びます。ここに「順潮流」「充電」の語があれば、充電側が原因の工事です。変電所からの新設線が理由なら、出力を下げて既設線に入れる余地があるかを電力会社に聞く価値があります。余地がある例は多くありませんが、充電側の対策が付いた回答では、充電kWを下げると順潮流の対策が要らなくなることがあるので、聞いてみる所です。
(2)系統連系工事の概要(工事費負担金工事以外も含めた全ての工事)
(a) 工事概要図
連系方法:6kV○○線 ○○号柱より分岐し、貴社発電所の構内柱と接続する。A
(別の回答書の書き方)連系方法:○○変電所に新設する6kV○○線より、貴社発電所の構内柱と接続する。B
(b) 連系点・送電線ルートの選定理由:
・近傍に存在する送電系統のうち、貴社受電設備に最も近く連系が可能な6kV○○線での架空線連系といたします。C
(c) 工事の必要性と設備規模:
(別の回答書の書き方)・貴社連系による順潮流により設備健全時に、○○変電所○号変圧器(○○kV○○線)の設備容量(熱容量)を超過するため、○○変電所○号変圧器(○○線)の増強工事(○○MVA→○○MVA)が必要となります。D
- A近くの既設の線から枝分かれする形。標準形で、負担金は引込みの架空線と計量・通信が中心になるはずです。
- B変電所から専用の線を新しく引く形。負担金も工期も跳ねます。線の長さ(亘長)は、負担金の算定根拠の表に出ます。
- C最寄りの線に入る、という理由。当社の束では8割がこの形でした。最寄りでないときは、その理由が具体的に書かれます(下の表)。
- D「順潮流」の語があれば、充電側が原因の工事。変圧器の増強は年単位です。充電kWを下げる余地を電力会社に聞く所です。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。
負担金の内訳:総額の前に、行を見る
工事費負担金は、総額の下に内訳の表があります。架空線工事/地中線工事/バンク逆潮流対策/通信設備工事/計量設備工事/その他(上位系統工事:送電・変電)/一般負担の上限額超過分。当社が見るのは総額ではなく、どの行に金額が入っているかです。
架空線と計量・通信だけなら標準形です。変電設備・地中線・上位系統工事の行に金額が入っていれば、高額で年単位の工事になり、承諾や精算でも動きやすい。
税抜か税込かも確かめます。回答書3.(3)には、項目ごとの概算工事費を電力会社に求めるときは秘密保持誓約書が要る、と書かれています。
(3)概算工事費及び工事費負担金概算
○概算工事費及び工事費負担金の総額(内訳を含む)
概算工事費の総額 6.8百万円(消費税等相当額0.6百万円を含む)A
工事費負担金の総額 6.2百万円(消費税等相当額0.6百万円を含む)B
| 設備区分 | 工事費負担金概算 (百万円・消費税等相当額を除く) | 概算工事費 (同) |
|---|---|---|
| 架空線工事 | 3.6 | 4.2 |
| 地中線工事 | - | - |
| バンク逆潮流対策 | - | - |
| 通信設備工事 | 0.9 | 0.9 |
| 計量設備工事 | 1.1 | 1.1 |
| その他(上位系統工事:送電) | -C | - |
| その他(上位系統工事:変電) | - | - |
| 一般負担の上限額超過分 | -D | |
| 総額(消費税等相当額を除く) | 5.6 | 6.2 |
※ 項目ごとの概算工事費の提示を求める場合は、秘密保持誓約書を提示していただく必要があります。E
- A概算工事費は工事全体の額で、電力会社が持つ分(一般負担)も含みます。申込者が払うのはBです。
- B総額は税込で書かれます。買値や事業計画と比べるときは、表の下の「消費税等相当額を除く」総額にそろえます。
- C上位系統工事の行が「-」か。ここに金額があれば、変電所や送電線の増強が絡む年単位の工事です。当社の束では、金額が入った回答はほとんどありませんでした。
- D一般負担の上限額超過分。電力会社が持つ分のうち、1kWあたり4.1万円(税抜き。広域機関が2018年6月に指定)の上限を超えた額を申込者が持つ行です。金額があれば、大きな増強が絡んでいる印です。
- E工事ごとの内訳の額を聞くには、秘密保持誓約書が要る、という注記です。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。特別高圧の様式(AK7)は、内訳の行が架空線・地中線・変電設備・給電設備・通信設備・計量設備・その他になります。
工期の起算点:回答日からではない
所要工期は「工事費負担金の入金後 ●年●ヶ月程度」と書かれています。回答日からではありません。記載例には「所要工期には、契約手続(契約申込み~技術検討~連系承諾~工事費負担金契約~入金)に係る期間は含まれておりません」と注記があります。
東京電力PGの回答書は、「受給契約申込後 ●年●ヶ月」と「入金後 ●年●ヶ月」の2本の時計を書きます。上位系統の対策工事がある回答書では前者が年単位になります。希望日には連系できないので時期の調整が必要だ、と回答書自身が書いている例もあります。当社の束では、その文がある回答は九州で約6割、関西で4割、中部で3割でした。希望日が守れないことを、回答書が先に言っています。
連系予定日は、この行から自分で組み直します。回答日から1年以内に契約申込み、受付から原則6か月の技術検討、承諾から1か月以内の負担金契約、入金、そして入金後の工期。売買の資料に写っている連系予定は、回答日起算のことが珍しくありません。
(4)所要工期(発電設備等の運転に必要な設備の運用開始までに必要な期間)
工事費負担金の入金後 1年2ヶ月程度A
連系工事には1年2ヶ月必要となりアクセス線運転開始希望日には連系不可となりますので、連系時期の調整が必要となります。B
○概略工程表C
| 工事内容 | 〜3か月 | 〜6 | 〜9 | 〜12 | 〜14 |
|---|---|---|---|---|---|
| 調査・設計 | |||||
| 用地交渉 | |||||
| 工事施工 | |||||
| 通信設備工事 | |||||
| 計量設備工事 |
※上記所要工期には、契約手続(契約申込み~技術検討~連系承諾~工事費負担金契約~入金)に係る期間は含まれておりません。D
- A入金の日から数える。回答日からではありません。記載例は「原則、工事費負担金入金後」とし、調査・測量で入金までに時間がかかるときは「起算点を明確にして」示してよい、としています。東京の2本の時計は、これに当たると当社は読んでいます。
- B希望日に間に合わないことを、回答書が先に言っている文。記載例は「運用開始希望日に間に合わない場合にはその旨記載」としています。
- C工程表でいちばん右まで伸びる行が、工期を決めている工程。この見本では通信と計量(機器の納期)です。
- D契約手続きの期間は入っていない。下の計算のように、自分で足します。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。工程表の月数は架空です。
回答日 2026年3月10日 → 契約申込みの受付 2026年6月(書類と保証金の入金がそろった日)→ 技術検討 原則6か月 → 連系承諾 2026年12月 → 工事費負担金契約 承諾から1か月以内 → 入金 2027年2月 → 工期1年2か月 → 連系 2028年4月ごろ。
回答日から「1年2か月」と読むと2027年5月になり、11か月早く見えます。受付まで3か月かけた想定で、受付が早ければ、そのぶん前に寄ります。
有効期限(本文4.)と守秘(注意事項説明書)
6項目は入口編で1枚ずつ書きました。ここでは、買う人が見落としやすい2点だけ補います。
有効期限は回答日の翌日から1年で、1年の中に契約申込みの「受付」まで進む必要があります。受付は、申込書類に不備がなく保証金の入金が確認された日です。残り日数が少ない回答書は、それだけで値段が変わります。
守秘。各ページに「秘密情報 目的外使用・第三者への開示を禁止します」とあり、注意事項説明書は目的外利用と第三者への漏えい等の禁止、漏えいした場合の損害賠償の可能性を書いています。売主が回答書を買い手候補にそのまま渡してよいかは、この条項の問題です。当社は電力会社の了解を取るか、墨消し版を使っています。
4.今後の手続について
(1)契約申込みについて
・契約申込みにあたっては、本回答書3(5)に記載する「申込者に必要な対策」等が具備されている必要があります。また、…保証金を支払う必要があります。A
・…連系承諾の通知後…、2か月以内に発電設備等を設置する用地の使用権原を証する書類…の提出が必要となります。B
※1 次のア~ウいずれかに該当する場合は、契約申込みを受け付けることができません。
ウ 接続検討の回答日から1年を経過した場合C
6.本回答書に含まれる内容は、守秘性の高い情報が含まれており、本回答書に基づき知りえた情報についての目的外利用、第三者への漏えい等を禁止します。…損害賠償の責任が発生する可能性があることにご留意ください。D
- A受付には保証金の入金まで要る。系統用蓄電池は、2026年4月1日以降の契約申込みから概算負担金の10%です。
- B承諾のあとに動く2か月の時計。非FIT・非FIPの案件で、出さなければ連系予約が取り消されます(承諾編)。
- C有効期限は、注意事項説明書ではなく本文のここに書かれる。回答日の当日は数えません。広域機関の「系統アクセスの流れ」は、2020年10月1日の回答なら2021年10月1日まで有効、と例を示しています。
- D守秘。各ページの下の端にある「秘密情報」の一行と同じ趣旨です。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。注意事項説明書は様式AP9-20230703。
有効期限は2027年3月10日。この日までに契約申込みの「受付」まで進む必要があります。九州電力送配電は、有効期限日の2か月程度前までに申し込むよう案内していて、九州ならこの例では2027年1月上旬が申込みの目安です。ほかの会社でも、書類の確認と保証金の入金に日数がかかるので、期限の直前は避けます。
○の行も、同じ流れで見る
申込者に必要な対策(3.(5))。適合表で、「不適」や「提出要」になっている項目を拾います。通信装置・出力制御の機器・保護装置は見積に乗ります。「今回未提出データ提出要」の行があれば、接続検討は代わりのデータで検討しています。出す時期は連系の実施の段(業務指針第104条)で、出せない諸元は協議になります。
運用上の制約(3.(7))。制約の有無、作業停止時の抑制・停止、基幹系統の再給電方式(混雑したときに出力を止める順番のルール)、ノンファーム型接続の適用に係る抑制(潮流実績、設備停止作業の日数・頻度)。収益の前提がここにあります。「出力制御量に影響を与える主な設備名」は、記載例では連系可否の欄(見本2のD)にあります。特別高圧の記載例には充電制限(早期連系追加対策)の想定潮流が付き、止める時間の上限は1日12時間が目安とされています。会社によっては、ローカル系統の混雑管理の扱いもこの欄に書かれます。
前提条件(3.(6))とその他(3.(8))。(6)は検討対象年度と断面(高圧の記載例は放電側が軽負荷時・重負荷時、充電側が重負荷時。特高は放電側が軽負荷時のみ)と、代わりに使ったデータ。(8)は、容量市場・需給調整市場に参加できない場合を容認すること、国の審議会の結論で充電側の対策が変わりうること、他の申込み状況で対策が変わりうること。読んでおけばよい行です。
今後の手続(4.)。契約申込みに要るもの(対策の具備と保証金)、承諾後2か月以内の使用権原の書類、有効期限、一括検討の対象になる可能性。一括検討(特別高圧の系統の工事の負担金を共同で持つ申込者を募る手続き)の対象になる可能性がある場合や、始まった場合は、手元の回答書では契約申込みを受け付けてもらえず、一括検討への応募で進めることになります。
(5)申込者に必要な対策
| 項目 | 適合状況 | 適合しない場合の追加対策内容 |
|---|---|---|
| ② 発電機定数・諸元 | その他(今回未提出データ提出要)A | |
| ③ 力率 | 不適 | 進み○○~遅れ○○とする必要があります。B |
| ⑧ 電圧変動対策 | 不適 | 力率一定制御としていただく必要があります。 |
| ⑪ 保護装置 | 適 | |
| ⑱ 発電出力の抑制機能 | 適 |
(7)運用上の制約
(a) 制約有無:あり
・○○kV○○線、□□線、▽▽変電所の作業停止時及び周辺系統の作業停止に伴う系統切替等、系統運用上必要な場合には、発電抑制、もしくは停止していただくことがあります。C
・275kV○○線における設備停止作業日数実績 過去3年間(20○○年度~20○○年度)の当該線路平均停止作業計画日数:○日/年D
(8)その他
・貴社発電所がノンファーム型接続による系統連系をすることで、容量市場および需給調整市場に参加できない場合は、これを容認していただきます。E
・現在、国の審議会(系統WGなど)において、系統接続時における充電側の課題への対応について議論されており、その結論によっては、対策工事の内容等が変更となる可能性があります。F
- A接続検討のときに出していないデータがある。前提条件の欄に「今回未提出の発電機データは以下の代替データを使用」とあれば、代わりの値で検討しています。出す時期は連系の実施の段です(記載例4.(3))。
- B「不適」には、どうすればよいかが横に書かれる。PCSの設定や機器で対応する内容なので、EPCの見積と機器の仕様に入っているかを見ます。
- C点検や工事のときに止められる。ノンファームの抑制とは別の止まり方です。
- D止まる日数の実績。年間の稼働日数と収益の試算に入れます。記載例には、作業の種類ごとの停止日数・頻度の目安の表も付きます。
- Eノンファームの電源は、市場に出られない場面がある。どの市場で稼ぐかの前提に効きます。
- F充電側のルールは国で議論中。結論によって対策工事が変わりうる、という予告です。
文言は電力広域的運営推進機関の記載例(高圧・様式AP8-202610)から。名称・地名・数字は架空で、実在の回答書ではありません。会社によって言い回しや欄の番号が少し違います。適合状況の「適・不適」は見本として埋めたもので、記載例では「適・不適・その他」の選択肢のままです。19項目のうち5項目だけ載せました。
事例:総額は約4倍、連系予定日は1年4か月違う2通
6か所を読むと、同じ「高圧・2,000kW弱・回答書あり」でも、まったく別の案件に見えてきます。当社が読んだ回答書によくある形を合成した、架空の2通で比べます。どちらも回答日は2026年3月10日で、回答から3か月で契約申込みの受付、受付から6か月で承諾、承諾から2か月で入金とします。
- 1申込内容
- 放電1,990kW・充電1,990kW。売主の資料と同じ
- 2連系可否
- 可(対策が前提)。主な設備名:対象なし
- 3工事の概要
○○号柱より分岐し
。選定理由は最も近く連系が可能な
線- 4負担金の内訳
- 架空線3.6・通信0.9・計量1.1=5.6百万円(税抜)
- 5工期
工事費負担金の入金後 10ヶ月程度
- 6注意事項
- 標準の6項目。有効期限は2027年3月10日
- 1申込内容
- 放電1,990kW・充電1,990kW。売主の資料と同じ
- 2連系可否
- 可(対策が前提)。主な設備名:66kV○○線。再給電方式
- 3工事の概要
○○変電所に新設する6kV○○線より
。必要性に貴社連系による順潮流により…変圧器の増強工事
- 4負担金の内訳
- 架空線6.8・地中線9.5・変電設備工事5.2・通信0.9・計量1.1=23.5百万円(税抜)
- 5工期
入金後 2年2ヶ月程度
。運転開始希望日には連系不可…調整が必要
- 6注意事項
- 標準の6項目。有効期限は2027年3月10日
2通とも架空です。地名・数字は当社が読んだ回答書をもとに作った例で、特定の案件のものではありません。
売買の資料では、2通とも「高圧・回答書取得済み・負担金○百万円」の1行になりがちです。Bの値付けは、負担金の差額よりも、連系までの時間と、そのあいだの金利・地代・期限切れのリスクで決まります。当社が値段を考えるときに効くのも、負担金の差額よりこの時間の差です。
買う人が売主に求めるもの
6か所を読んだあと、売主にこう頼みます。
- 回答書の原本一式(表紙・別添・注意事項説明書)と回答日。有効期限(回答日の翌日から1年)までの残り日数
- 件名で紙を見分ける。接続検討の回答書か、連系承諾か。両方あるなら承諾日
- 回答書の申込内容(最大受電電力・最大自家消費電力・機器・地番)と、売主の資料の値が同じか。違えば再検討の種
- 負担金の内訳の表と、連系点の選定理由。負担金はどの工事から来ているか、最寄りの線か
- 工期の起算点。入金後何か月か。契約手続きの期間を足して、連系予定日を自分で組み直す。「希望日には連系できない」旨の文の有無
- 契約申込みの記録。発電側と需要側の受付日の通知、保証金の請求書と入金の記録。承諾済みなら、承諾書・工事費負担金契約の締結日・入金の記録・使用権原の書類の提出
- 申込者(発電契約者)の名義と、買うときの名義変更・地位の移転をどの書類で行うか。回答書を見せてもらう前に、売主が電力会社の了解を取っているか(守秘)
よくある質問
事前相談で「制限なし」だったのに、回答書では充電側の対策工事が付きました。なぜですか?
無料の事前相談は、配電用変圧器の熱容量から簡易的に評価した結果で、充電側を検討したとは書かれていません。回答書は「逆潮流(受電)側と順潮流(供給)側を包含した検討結果」で、充電側(順潮流)も見た結果です。充電側が原因の対策工事は、回答書で初めて出てきます。当社の束では、充電側起因の対策や制約が書かれた回答が4分の1強あり、付いた回答は工期の中央値が約1.6倍でした。
負担金の総額が予算に収まっていれば、内訳は見なくてよいですか?
内訳の行で、工期と動きやすさが決まります。架空線と計量・通信だけなら標準形で、当社の束では内訳の行の中で架空線工事がいちばん大きく、全体の37%でした。変電設備・地中線・上位系統工事の行に金額が入っていれば年単位の工事で、精算でも動きやすい。総額が同じでも、中身で案件の性格が違います。
売主から回答書のPDFをそのまま送ってもらってよいですか?
回答書には守秘の条項があり、各ページに「秘密情報 目的外使用・第三者への開示を禁止します」とあります。売主が電力会社の了解を取っているか、墨消し版かを確かめてください。当社は了解を取るか、墨消し版を使っています。買い手候補への開示を一般に認めた公式の文は、今のところ見つかっていません。
参考にした一次資料と、関連する記事
様式と記載例
- 電力広域的運営推進機関「接続検討回答書 記載例」AP8-202610(高圧) PDF
- 同 AK7-202610(特別高圧) PDF
- 同「事前相談に対する回答書」記載例(様式 CK3高圧-202507) PDF
- 中部電力パワーグリッド「契約申込みに対する回答書」(高圧の書式) PDF
- 関西電力送配電「発電設備等に関する契約申込みの回答について(承諾)」記載例(様式PP3-20181001) PDF
- 電力広域的運営推進機関「系統アクセス手続きで用いる様式集」(AP7・AP8・AK7・AP9・PP3・PP4・LP3) www.occto.or.jp
- 電力広域的運営推進機関「発電設備等に関する系統アクセスの流れ」(2026年9月版) PDF
有効期限・保証金
- 電力広域的運営推進機関「送配電等業務指針」(2026年8月1日変更)第89条第1項第6号・第98条・第103条 PDF
- 九州電力送配電「発電側申込に関するよくあるQA集」(有効期限・保証金の入金期限・系統容量の確保の時点) PDF(掲載ページ www.kyuden.co.jp)
事前相談・要否確認・費用負担
- 資源エネルギー庁「系統接続に関する事例集」 www.enecho.meti.go.jp
- 東京電力パワーグリッド「事前相談・接続検討のお申込みに対する概算負担金・概算工期の提示について」 PDF
- 電力広域的運営推進機関「系統接続および利用ルールについて~系統用蓄電池~」(2025年4月1日) PDF
- 資源エネルギー庁「発電等設備の設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担等の在り方に関する指針」(令和6年5月15日改定)。一般負担の上限は広域機関が指定(4.1万円/kW=税抜き、2018年6月6日の見直し後一律。資源エネルギー庁 事例集 Q2-1)
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当社の集計は、当社に売却や紹介で来た案件の接続検討回答書・連系承諾を読んで数えた範囲の観測です。地点・社名・個別の金額は出していません。