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減る・戻る・増える。火力は7割から3〜4割へ、原発は1割から2割へ、需要は減少から増加へ。

国の計画(第7次エネルギー基本計画、2025年2月閣議決定)は、2040年度の電気の作り方を3つの数字で置いています。この3つが、これから15年の蓄電池の仕事の量を決めます。

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電気の作り方(電源構成、%)火力 68.6再エネ 22.92023年度 実績火力 67.5再エネ 23.12024年度 実績火力 41原子力 21再エネ 372030年度目標(第6次)火力 35原子力 20再エネ 452040年度見通し(第7次)幅のある数字は中央で表示(2030年度:再エネ36〜38・原子力20〜22、2040年度:再エネ40〜50・火力30〜40)
図1 火力は7割から3〜4割へ減り、原子力は2割へ戻り、再エネは4〜5割へ。出典:経済産業省 エネルギー需給実績(2023・2024年度確報)/第6次・第7次エネルギー基本計画。

火力は減る。ただし残る

2024年度の火力は67.5%(LNG・石炭・石油)。2040年度は30〜40%です。半分になりますが、なくなりません。第7次は、効率の悪い石炭火力を減らし、LNGを移行期の現実的な燃料と位置づけました。減った分の調整の仕事は、48-6で見たとおり、少しずつ蓄電池に移ります。

原発は戻る

2024年度の原子力は9.4%。2040年度は20%程度です。第7次は「依存度を可能な限り低減する」という文言を外し、再稼働に加えて、廃炉が決まった敷地内での次世代炉への建て替えも認めました。原発が戻るほど昼の余りは増えます(48-7)。

需要は増える

発電量は2024年度に9,911億kWh。2040年度は1.1〜1.2兆kWhで、2022年度から1〜2割増えます。データセンター、半導体工場、電化が理由です。減り続けてきた需要が増える前提に変わったのは、数十年ぶりです。席の値段は、需要が増えると上がります(48-10)。

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発電量(億kWh)9,9112024年度 実績11,0002040年度 見通し(下)12,0002040年度 見通し(上)出典:経済産業省 令和6年度エネルギー需給実績(確報)/第7次エネルギー基本計画 関連資料
図2 需要は減少から増加へ。2040年度は1.1〜1.2兆kWh。

海外の例:火力を蓄電池で置き換える入札

イタリアの送電会社Ternaは2025年9月30日、蓄電池の容量を15年固定で買う初めての入札を行い、10GWh分を落札しました。目的の一つは火力への依存を減らすことです。応札は募集の4倍を超え、価格は上限の3分の1近くに収まりました(48-15)。火力を減らす国は、その穴を蓄電池で埋める買い方を始めています。

投資家の読み方
3つの数字はすべて、蓄電池の仕事を増やす方向です。火力が減れば調整の席が空き、原発が戻れば昼の余りが増え、需要が増えれば席代が上がります。2040年度までの15年は、この3つが同時に動く期間です。計画が変わる可能性は両方向にあります。原発の戻りが遅れれば火力が長く残り、調整の席の空き方は緩やかになります。
この連載の問い
一、昔はなぜ蓄電池なしで回っていたのか
  1. 48-2昔は蓄電池がなくても回っていたよね
  2. 48-3回る機械が減った系統では、何が消えるのか
  3. 48-4なぜ「10秒」なのか
  4. 48-5再エネが増えるほど、調整力が要るのか
二、火力・原発・揚水では、なぜ足りないのか
  1. 48-6火力に調整させれば、足りるのでは
  2. 48-7原発が増えたら、蓄電池はいらなくなる?
  3. 48-8揚水を増やせば、足りるのでは
  4. 48-9市場で買えなかった調整力は、どこから来ているのか
三、これから電気の需要と電源はどうなるのか
  1. 48-10データセンターが増えると、なぜ蓄電池なのか
  2. 48-11太陽光は、これからどうなる
  3. 48-12火力の量は、原発の稼働は、需要は(この記事)
  4. 48-13蓄電池は、どれだけ増えるのか
四、お金と、国の本音
  1. 48-14国は、蓄電池を増やしたいのか
  2. 48-15インフラ投資としての蓄電池は、何に似ているのか
  3. 48-16稼ぎは細るって言うけど、本当?
  4. 48-17海外の真似をして、日本で儲かるか
  5. 48-18蓄電池は、将来どれだけ必要なのか
  6. 48-19蓄電池は、どこに置いても同じなのか
18の問いの先にある、ひとつの問い48-20 いくらで買って、いくら戻るのか答えは案件ごとに違う。だから公表値だけを目盛りにした計算機を置いた。単価・約定率・席代・差益・建設費を、自分で動かせる。

出典

この記事の監修
中島 晋也(サイエンスエックス株式会社 代表取締役・工学博士)

系統用蓄電池発電所の開発・売買・技術デューデリジェンスを手がける。本コラムは、実案件の組成と評価の実務に基づいて執筆・監修しています。