半分正しい。増えるのは「ぶれ」の備えだけで、「止まる」備えは再エネでは減りも増えもしません。
「再エネが増えるほど調整力が要る」は、よく聞く説明です。太陽光は雲で出力が変わり、風力は風で変わるので、その分の備えが要る。これは正しい。ただし、調整力の必要量はそれだけで決まっていません。
必要量は二階建て
電力広域的運営推進機関の算定式は、必要量を2つの足し算で決めています。
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1階は「ぶれ」の備え。需要から太陽光と風力の出力を引いた「残り」が、短い時間でどれだけ動くかを統計で見積もります。再エネが増えるほど、この残りは動きやすくなります。ここが「再エネが増えるほど要る」の中身です。
2階は「止まる」備え。いちばん大きい発電所が1台突然止まったときに、その穴を埋める分です。東日本でいちばん大きい発電機は2021年時点で116万kWでした。2026年に柏崎刈羽6号機(135.6万kW)が戻ったので、この値は上がります。この備えは、再エネがいくら増えても減りません。原発のような大型機が動いているほど、むしろ大きくなります。
2026年度に13%減ったのは、1階の見積もり
2026年度から、1階の見積もりが「めったにない日にも備える幅(3σ)」から「ふつうの日の幅(1σ)」に変わり、速い商品(一次・二次①)の募集量は2025年度より13%減りました。同時に、3時間続けて出せる「複合」の募集量は50%増えています。減ったのは1階の幅で、2階には手が付いていません。この点は47-2で数字を追っています。
海外も同じ二階建て
英国の送電会社NESOは、いちばん大きな発電所が止まる備えを1,000MW級に据え置いたまま、はずみの最低値を2022年の140から2024年に120(GVA・秒)へ段階的に下げ、その代わりに速い商品の保有を増やしました。豪州の1秒商品も、はずみが減るほど必要量が増える式(inertia-aware)で決まり、上限は2023年10月の50MWから2024年12月に425MWまで引き上げられました。
つまり英国と豪州では、量より速さの手当てが先に進みました。1階は統計で縮められても、速さは縮められません。
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出典
- 電力広域的運営推進機関 第44回需給調整市場検討小委員会 資料2(必要量=時間内変動+電源脱落、電源脱落=単機最大の系統容量按分)
- 資源エネルギー庁 第109回制度検討作業部会 資料6「需給調整市場について」2025年12月12日(1σ化、2026年度の募集量:一次・二次①13%減、複合50%増)
- 電力広域的運営推進機関 第58回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料、2021年3月3日(東エリアの最大単機116万kW)
- NESO Frequency Risk and Control Report 2024/2025(最低慣性140→130→120GVA.s、脱落備え1,000MW)
- AEMO Very Fast FCAS 要件(R1上限50MW→425MW、2024年12月9日)
- 送配電網協議会「調整力確保の重要性」2025年10月