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入口は1億7,200万kW、出口は64万kW。つながっているのは0.4%で、申込は国の2040年の見通しを3倍超えています。

蓄電池を系統につなぐには、まず「接続検討」を申し込み、電力会社の回答を得て、「契約」を申し込み、工事費を払い、工事を待ちます。この漏斗の入口と出口を、資源エネルギー庁の数字で見ます。

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系統用蓄電池の量(2025年12月末、資源エネルギー庁 第9回次世代電力系統WG)つなぎたい(接続検討の受付中)1億7,200万kW契約を申し込み中3,000万kW実際につながっている64万kW(0.4%)
図1 入口は大きく、出口は細い。つなぎたい量1億7,200万kWに対し、実際につながっているのは64万kW(2025年12月末)。出典:資源エネルギー庁 第9回次世代電力系統WG(2026年3月27日)。

入口は1年3か月で2倍、出口は1年で4倍

接続検討の受付中は、2024年9月末の約8,800万kWから2025年12月末の約1億7,200万kWへ、約1年3か月で2倍になりました。契約申込の受付中は、同じ期間に約620万kWから約3,000万kWへ、5倍近く増えています(国の公式指標では、2024年9月末→2025年9月末で約2,400万kW・約3.9倍)。一方、実際につながった量は2024年12月末の約17万kWから2025年12月末の約64万kWへ、1年で約4倍になりましたが、入口に比べれば桁が2つ違います。

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申込と連系の推移(万kW)接続検討 受付中8,8002024/9末9,5002024/12末17,2002025/12末契約申込 受付中6202024/9末8002024/12末2,4002025/9末3,0002025/12末連系済み172024/12末642025/12末
図2 申込は積み上がり、連系はゆっくり増える。出典:資源エネルギー庁 各回資料(2024年9月末〜2025年12月末)。

出口が細い理由

理由は3つあります。事業者へのヒアリング(資源エネルギー庁)によれば、工事費の負担金を払って着工しても、系統側の工事が3〜5年待ちになる案件があること。受変電設備の納期が長引いていること。そして申込の中に、土地も資金もないまま「席だけ押さえる」案件が多く混ざっていたことです。国は2026年に対策を入れました。契約申込の保証金を引き上げ(4月)、1社あたりの接続検討件数に上限を設け(8月1日)、契約申込に土地の使用権原の書類を求める改正も予定しています(10月予定)。席の空押さえを減らす方向です。

国に目標はない

「日本は蓄電池を何GW入れるつもりか」と海外の投資家に聞かれます。答えは「目標はない。見通しはある」です。資源エネルギー庁は2026年3月の審議会で、供給側の蓄電池(系統用・再エネ併設)の2040年度の見通しを280万〜1,000万kWと示し、足元の導入量を50万kWとしました(範囲と時点が連系済み64万kWとは異なります)。同じ場で国自身が「契約申込は2025年9月末で2,400万kWと、すでに見通しの幅を超えている」と説明しています。つまり、契約申込は国の2040年の見通しの上限の3倍、つながっている64万kWは見通しの下限の約4分の1、という位置にあります。海外は違います。米国は2025年に15GWの蓄電池を新たにつなぎ、2026年は24GWを計画しています(EIA)。テキサスだけで蓄電池の接続申込は178GW(17,764万kW)あり(ERCOT、2026年2月)、日本の接続検討1億7,200万kW(172GW)と同じ桁です。豪州の系統運用者AEMOは、2050年までに49GW/646GWhの蓄電(揚水・需要側を含む)が必要と計画に書いています(48-18)。

投資家の読み方
出口が細いということは、つながっている蓄電所が少ないということです。連系日が確定した案件、すでに動いている案件は、申込の山とは別に数えるべきです。国は空押さえを減らす方向に手を入れました。効果はこれから出ます。国に目標はなく、実際の上限は系統の受入容量と工事の順番で決まります。
この連載の問い
一、昔はなぜ蓄電池なしで回っていたのか
  1. 48-2昔は蓄電池がなくても回っていたよね
  2. 48-3回る機械が減った系統では、何が消えるのか
  3. 48-4なぜ「10秒」なのか
  4. 48-5再エネが増えるほど、調整力が要るのか
二、火力・原発・揚水では、なぜ足りないのか
  1. 48-6火力に調整させれば、足りるのでは
  2. 48-7原発が増えたら、蓄電池はいらなくなる?
  3. 48-8揚水を増やせば、足りるのでは
  4. 48-9市場で買えなかった調整力は、どこから来ているのか
三、これから電気の需要と電源はどうなるのか
  1. 48-10データセンターが増えると、なぜ蓄電池なのか
  2. 48-11太陽光は、これからどうなる
  3. 48-12火力の量は、原発の稼働は、需要は
  4. 48-13蓄電池は、どれだけ増えるのか(この記事)
四、お金と、国の本音
  1. 48-14国は、蓄電池を増やしたいのか
  2. 48-15インフラ投資としての蓄電池は、何に似ているのか
  3. 48-16稼ぎは細るって言うけど、本当?
  4. 48-17海外の真似をして、日本で儲かるか
  5. 48-18蓄電池は、将来どれだけ必要なのか
  6. 48-19蓄電池は、どこに置いても同じなのか
18の問いの先にある、ひとつの問い48-20 いくらで買って、いくら戻るのか答えは案件ごとに違う。だから公表値だけを目盛りにした計算機を置いた。単価・約定率・席代・差益・建設費を、自分で動かせる。

出典

この記事の監修
中島 晋也(サイエンスエックス株式会社 代表取締役・工学博士)

系統用蓄電池発電所の開発・売買・技術デューデリジェンスを手がける。本コラムは、実案件の組成と評価の実務に基づいて執筆・監修しています。