← 入口(19の問いの一覧)に戻る

まだ増えます。止める電気も増えますが、毎年増えるわけではなく、天候と原発で上下します。

2040年度に2.5〜3.6倍

第7次エネルギー基本計画(2025年2月)は、2040年度の太陽光を電気全体の23〜29%と置きました。発電量では2023年度の2.5〜3.6倍です。屋根や壁に貼れる次世代型(ペロブスカイト)は2040年に約20GWの目標があり、2030年までにGW級の量産体制を作る計画です。

止める電気は全国に広がった

太陽光が昼の需要を超えると、止めます(出力制御)。2018年に九州で始まり、2026年3月1日には東京エリアでも初めて実施され、これで全国10エリアすべてに実績が揃いました。東京の初回は11時から16時。東京電力パワーグリッドの指示はコマごとに3〜118万kWで、公表された制御量の合計は184万kWでした(集計方法が異なります)。

← 横にスクロールできます →

エリア別・太陽光と風力を止めた割合(%)6.1九州2.8中国2.4四国2.2東北2.1北陸0.4関西0.4中部0.3北海道0.009東京0.2沖縄2024年度 実績2025年度 見込み(数字)東京は2026年3月1日に初めて実施(2025年度見込み0.009%)。北海道の2024年度は0.04%出典:資源エネルギー庁 第8回次世代電力系統WG 資料1(2026年3月16日)
図1 エリア別に、太陽光・風力を止めた割合(%)。九州がいちばん高く、2025年度の見込みは6.1%。東京は2026年3月1日に初めて実施した。出典:資源エネルギー庁 第8回次世代電力系統WG 資料1、2026年3月16日。

毎年増えるわけではない

資源エネルギー庁は2026年3月の資料で「再エネの設備は年々拡大する一方、出力制御量は必ずしも毎年度増加しているわけではない」と書いています。天候、需要、原発の定期検査、火力の稼働で年ごとに動くからです。九州は2023年度8.3%(12.9億kWh)から2024年度4.8%(7.5億kWh)へ下がり、2025年度は6.1%の見込み。同じ資料は「今冬は好天で全国の制御量が例年より増えた」とも書いています。

2034年の見通しは、北海道30%・九州22%

各送配電会社は毎年、無制限無補償ルール(止められても補償のないルール)の事業者向けに長期の見通しを出しています。2025年6月の見通し(2034年の導入量の前提、2024年度実績ベース)では、北海道30%、九州22%、東北16%、中国16%、北陸10%、四国10%、関西9%、中部6%、東京2%です。試算値であり、上限の保証ではありません。止める電気が多い地域は、貯める余地も大きい地域です。

← 横にスクロールできます →

2034年の出力制御率の見通し(無制限無補償ルール、%)北海道30%九州22%東北16%中国16%北陸10%四国10%関西9%中部6%東京2%2024年度実績ベース、2034年導入量の1.3倍ケース出典:資源エネルギー庁 第3回次世代電力系統WG 資料1(2025年6月27日)
図2 2034年の出力制御率の見通し。北海道と九州は2〜3割に達する。試算値であり上限の保証ではない。

海外では「マイナスの値段」が増えている

ドイツでは、太陽光が余る昼に卸電力の値段がマイナスになる時間が、2023年の301時間から2024年の457時間、2025年の573時間へ増えました。買い手が電気を引き取るとお金をもらえる時間です。日本の「止める」とドイツの「マイナス」は、同じ余りの別の表れ方で、どちらも「昼に安く貯められる電気」の量を示しています。

← 横にスクロールできます →

ドイツ:卸電力の値段がマイナスだった時間(時間/年)301時間2023年457時間2024年573時間2025年出典:Bundesnetzagentur 報道発表 2025年1月3日・2026年1月4日(SMARD)
図3 ドイツの年間のマイナス価格時間。太陽光の増加とともに増えている。
投資家の読み方
止める電気は、蓄電池にとって「安く貯められる電気」です。九州6.1%、東北2.2%、北陸2.1%という出力制御率(発電できた量に対する割合)のエリア差は、差益のエリア差に効きます。ただしそのまま比例するわけではなく、差益は卸価格の差と稼働の仕方で決まります。止める量は年ごとに上下するので、差益は「毎年増える収入」ではなく「天候と原発で上下する収入」として組むのが正しい前提です(48-16)。第7次計画が置いた方向は、2040年度に太陽光の発電量が2023年度の2.5〜3.6倍です。
この連載の問い
一、昔はなぜ蓄電池なしで回っていたのか
  1. 48-2昔は蓄電池がなくても回っていたよね
  2. 48-3回る機械が減った系統では、何が消えるのか
  3. 48-4なぜ「10秒」なのか
  4. 48-5再エネが増えるほど、調整力が要るのか
二、火力・原発・揚水では、なぜ足りないのか
  1. 48-6火力に調整させれば、足りるのでは
  2. 48-7原発が増えたら、蓄電池はいらなくなる?
  3. 48-8揚水を増やせば、足りるのでは
  4. 48-9市場で買えなかった調整力は、どこから来ているのか
三、これから電気の需要と電源はどうなるのか
  1. 48-10データセンターが増えると、なぜ蓄電池なのか
  2. 48-11太陽光は、これからどうなる(この記事)
  3. 48-12火力の量は、原発の稼働は、需要は
  4. 48-13蓄電池は、どれだけ増えるのか
四、お金と、国の本音
  1. 48-14国は、蓄電池を増やしたいのか
  2. 48-15インフラ投資としての蓄電池は、何に似ているのか
  3. 48-16稼ぎは細るって言うけど、本当?
  4. 48-17海外の真似をして、日本で儲かるか
  5. 48-18蓄電池は、将来どれだけ必要なのか
  6. 48-19蓄電池は、どこに置いても同じなのか
18の問いの先にある、ひとつの問い48-20 いくらで買って、いくら戻るのか答えは案件ごとに違う。だから公表値だけを目盛りにした計算機を置いた。単価・約定率・席代・差益・建設費を、自分で動かせる。

出典

この記事の監修
中島 晋也(サイエンスエックス株式会社 代表取締役・工学博士)

系統用蓄電池発電所の開発・売買・技術デューデリジェンスを手がける。本コラムは、実案件の組成と評価の実務に基づいて執筆・監修しています。